論文至上主義をゼロから考える〜その薬の効果はどのくらい?〜

猫好きの猫になりたい薬剤師です。どう医療に関わっていくか等々、薬剤師の一人である自身の感じたこと、考え方を投稿していきます。備忘録的な役割が大きいです。本ブログの記載内容については一切の責任を負えません。原著論文を参照して下さい。また情報の二次利用につきましては各々の責任でお願いいたします。記載内容に誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。お問い合わせはこちらまで→【noir.van13@gmail.com】

Up-To-Date Evidence of DPP-4 inhibitors(Last UpDated: OCT 14th, 2017)

⌘ 背景

経口血糖降下薬である DiPeptidyl Peptidase-4 inhibitors(DPP-4阻害薬)のオマリグリプチンの非劣性ランダム化比較試験の結果が発表された(2017年)。これまでに発表されているアログリプチン(EXAMINE)、サキサグリプチン(SAVOR-TIMI53)、そしてシタグリプチン(TECOS)の結果も併せまとめておく。

 

 

⌘ 疑問

DPP-4阻害薬は 2型糖尿病患者における心血管アウトカムを抑制できるか。

 

 

⌘ 結果

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23992602

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23992601

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26052984

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28893244

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25765696

(表1. 各論文より作成  —  プライマリーアウトカムは 3-point MACEである心血管イベントのみ) 

 

 

⌘ コメント

倫理的観点から非劣性試験ばかりである。またプライマリーアウトカムである心血管イベントにおいて、プラセボ薬に対する非劣性は証明されたが優越性は示されていない。しかしメタ解析では心血管イベント発生に対する抑制効果が示唆されているものもある(後日アップ予定)。

 

 血糖降下作用は、インスリンやスルホニル尿素薬に比べマイルド。そのため単独使用では低血糖症状をほぼ引き起こさないようだ。

 

 FDAやEMAから課せられた課題はクリアしている。しかし真のアウトカムへの効果は不明。あとは誰に使うのか、真の課題は薬剤使用の個別化ではなかろうか。