論文至上主義をゼロから考える〜その薬の効果はどのくらい?〜

猫好きの猫になりたい薬剤師です。どう医療に関わっていくか等々、薬剤師の一人である自身の感じたこと、考え方を投稿していきます。備忘録的な役割が大きいです。本ブログの記載内容については一切の責任を負えません。原著論文を参照して下さい。また情報の二次利用につきましては各々の責任でお願いいたします。記載内容に誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。お問い合わせはこちらまで→【noir.van13@gmail.com】

薬はどのくらいで安定した効果が得られ、どのくらいで体内からなくなりますか?(JAGS. 1976; Charge)

修正履歴:7.6時間→7.6日(2017.10.25ご指摘ありがとうございます!)

 

⌘ 疑問

薬はどのくらいで安定した効果、つまり定常状態に達するのか。そして、どのくらいで体内から消失するのか。

 

 

⌘ 結論

Ritschel(リッチェル)理論に基づくと、定常状態に達する薬の場合、半減期の 5倍の時間で反復投与により定常状態に達する。従って、服薬中止により半減期の(4〜)5倍の時間で体内から消失する。

定常状態に達する薬は、下記の式で 3以下を示す。

 

 

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⌘ 実例

健常成人が アムロジピン口腔内崩壊錠 5mg(1日 1回)

服用の場合、

 

  投与間隔 = 24 (時間)

  半減期 t1/2 = 36.5±4.2 (時間)

 

STEP 1:定常状態に達する薬であるか?

 投与間隔 24 / 半減期 36.5 = 0.657...

    ≦ 3であるためアムロジピン定常状態に達する薬。

 

STEP 2:どのくらいで定常状態に達するか?

  36.5 × 5 = 182.5

    つまり毎日服用すると 7.6日で定常状態に達する。

 

 

ちなみに、申請時の資料ではアムロジピン錠 2.5mgを 14日間反復投与した場合、プラトーに達したのは 6日目以降(添付文書を参照)。

 

 

ちなみに理論上、上記の式で解決できない薬剤もあります(membrane approach など)。こちらについては、そのうち記事にしたいと思います。

あるいは参考文献の2を読んでみると良いかと思います。

 

 

⌘ 参考文献: 

1.Ritschel WA. Pharmaco-kinetics approach to drug dosing in the aged. Journal of the American Geriatrics Society 24; 344-354: 1976. 

2.山本雄一郎  薬局で使える実践薬学(通称:鈍器)日経BP社 (2017/3/2) ISBN-10: 4822239616.  ISBN-13: 978-4822239619

 

3.ノルバスク錠  添付文書(最終アクセス日:2017年10月23日)