論文至上主義をゼロから考える〜その薬の効果はどのくらい?〜

猫好きの猫になりたい薬剤師です。どう医療に関わっていくか等々、薬剤師の一人である自身の感じたこと、考え方を投稿していきます。備忘録的な役割が大きいです。本ブログの記載内容については一切の責任を負えません。原著論文を参照して下さい。また情報の二次利用につきましては各々の責任でお願いいたします。記載内容に誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。お問い合わせはこちらまで→【noir.van13@gmail.com】

2016-01-01から1年間の記事一覧

低用量アスピリン服用患者においてテプレノン(防御因子増強薬)とラベプラゾール(PPI)は消化性潰瘍の再発を予防できますか?(PLANETARIUM study)

www.ncbi.nlm.nih.gov (PMID: 25100080) Declaration of funding interests: This study was funded by Eisai Co., Ltd., Tokyo, Japan. Writing support was provided by Eisai. Data management and analyses were undertaken by Eisai. ⌘ 背景 消化性潰…

構造主義科学論の冒険 著者:池田清彦

ある人に勧められて『構造主義科学論の冒険』を読んだ。 https://www.amazon.co.jp/構造主義科学論の冒険-講談社学術文庫-池田-清彦/dp/4061593323 以下、ただの個人的感想です。 ・科学は観察可能なもの(見えるもの=現象)を不変の同一性(見えないもの=…

ア・プリオリpriori と ア・ポステリオリposteriori とは?

カントの認識論で、よく用いられているコトバ。 私個人の解釈では、 ア・プリオリとは "経験によらず" もともと備わっている能力や個性。つまり経験から独立した認識。 → 先天的、直感的なものという『コトバ』。 → 分析的な判断は、その真偽において経験を…

大動脈弁狭窄症患者における厳格な脂質管理は有益ですか?(SEAS trial)

ここ数年どんどん処方数が低下していると感じるエゼチミブ(商品名:ゼチーア)。 何が問題なのか?今更ですが初期のトライアルを取り上げます。 www.ncbi.nlm.nih.gov 論文タイトル:Intensive Lipid Lowering with Simvastatin and Ezetimibe in Aortic St…

かかりつけ薬剤師とは何ですか?

はじめに断っておくと、2016年4月1日からはじまった制度の説明ではありません。 私の内のコトバの定義を記します。 と、言いつつ制度内容にも触れます。 ある先生のコトバにかなり影響を受けている私、その私が考えている "かかりつけ薬剤師" とは、 『患者…

処方提案するときに心がけていることは何ですか?

本題に入る前にコトバと現象について触れておきたい。 私が当たり前と考えていることをコトバにしたい。 ある現象をコトバで説明しようとするときに各々、個々人の頭で考えている。 そんなの当たり前だ!と言われそうだがココが重要なのである。 コトバを発…

海外の臨床試験の結果を日本人に当てはめられますか?

EBMを実践しようと論文を読み始めたときに、ふと『海外のデータばかりだな、日本人に活用できるのかな?』と思った。 今考えるとナンセンスで、どーでも良いことなのだが、当時の自分にとっては重要だった。 そんなとき、ある先生のコトバに横っ面をひっぱた…

ピロリ菌の除菌治療は3剤より4剤の方が良いですか?

前回に続きピロリ関連の文献を紹介します。2016年 Lancet 誌に掲載された以下の論文です。 www.ncbi.nlm.nih.gov (PMID: 27769562) ⌘ それではPICOから P:ピロリ菌陽性*の 1620 人(20 歳超の男女) I :ビスマス 4 剤療法、10 日間 (2 クエン酸ビスマス 3…

ピロリ菌除菌後にすぐ検査すると偽陰性となるのはなぜですか?

背景:Helicobacter pylor(H. pylori)感染の診断と治療のガイドラインに以下の記載がある。またネット上では偽陰性を生じる薬剤として下記の薬剤が掲載されていた。 H.pylori感染の診断と治療ガイドライン (2009) 「PPI や一部の防御因子増強薬等、H. pylo…

クオリアqualiaとは?

クオリアqualia:個々人が主観的に体験する"質(感じ)"のこと 以下、大辞泉より引用 →感覚的・主観的な経験にもとづく独特の質感。「秋空の青くすがすがしい感じ」「フルートの音色のような高く澄んだ感じ」など。感覚質。 『科学でいうところの物質は同一で…

EBMの父 David Lawrence Sackett とは?

臨床疫学という分野を初めて確立した医師 著書に Clinical Epidemiology や Evidence-based medicine (以下、EBM) がある EBM を実践したい、そのために理解したいと想う方は原著論文1) を読んでみてはいかがだろうか 偉大なる父の考えに触れ、何か得ること…

初投稿!

自身の勉強用ブログ、備忘録ブログとして開設しました。 薬剤師として働くなかで、知識や考え方等々、投稿していきたいと考えています。